【タイ便り vol.8】

文学研究科日本語日本文学専攻

博士前期課程2年　德久桃花

　配属先に赴任して1年3ヵ月が経ちました。10月24日にシリキット王太后が崩御されたことに際し、タイ国内は現在、1年間の服喪期間に入っています。黒を基本とする喪服で生活する日々が続き、街全体もどことなく落ち着いた雰囲気に包まれています。

【活動紹介】

　10月下旬から新学期が始まりました。私にとっては、配属先で過ごす最後の学期です。活動の終わりを意識しつつ、ここにどのようなものを残せるのかを考えながら日々取り組んでいます。

　11月5日の日本語クラブでは、オンラインで協力いただいている副島優莉隊員（日博体育,日博电竞app立大学文日博体育,日博电竞app日本語日本文学科3年）と、「ゆるキャラ」をテーマにした授業を行いました。前半に副島隊員主導でクイズを実施した後、後半はAⅠの画像生成機能を使って、赴任地であるウボンラーチャターニー県のゆるキャラを描いてもらいました。生徒はくまモンとの交流会を経験したため、ゆるキャラのイメージは掴みやすかったようです。ウボンの名物や、ろうそく祭りなどをテーマに、かわいらしいキャラクターが続々と誕生しました。

　また、昨年新しい教室に移動して以来、壁がまっさらなままだったので、新学期を機に教室環境を見直すことにしました。国際交流基金からいただいたポスターや、筆で書いた学校名、日本国旗などを生徒と一緒に掲示したところ、視覚的な情報が増え、教室の雰囲気も明るくなったように感じます。今後は、生徒の作品も少しずつ加えて、学習意欲の向上に繋げていきたいと思います。

【生活紹介】

　9月にウボンに着任した新隊員に声をかけてもらい、お寺で開催された瞑想体験に参加しました。参加者は当日の午後から断食をした状態で集まり、午後7時から読経を開始。続けて歩行瞑想、座禅瞑想をそれぞれ30分間行い、午後9時に就寝。翌日午前3時に起床し、瞑想を繰り返し行った後、朝の托鉢〈僧侶が町や家々を歩き、人々から食べ物をもらう仏教のならわし〉に参加して終了しました。タイ人から瞑想のコツなどを色々と教えてもらったのですが、日頃の雑念が多すぎてあまり集中できませんでした。無心の境地に達するには、まだまだ時間がかかりそうです。

　配属先での繋がりも広がっています。先日は、中国人の先生とタイで居酒屋に行くという、何だか不思議な経験をしました。母国を離れて生活している者同士ということもあり、話していると共感することばかりです。一緒にビールを飲みながら、お互いの悩みを話せる友達ができたことを嬉しく思います。次回は、彼女おすすめの麻辣湯〈中国の四川省発祥のスパイシーなスープ料理〉を食べに行く予定です。

　目まぐるしく過ぎていく日々の中では、ふと疲れを感じることもあります。そんな時、心の支えになるのは、誰かとの小さなやり取りです。授業終わりの生徒との談笑や、同僚の先生とのランチ、同期との電話など。それがタイ語であれ、英語であれ、日本語であれ、言葉を交わして相手と笑い合えた瞬間に、いつも助けられています。

　残りの任期は約3ヵ月。人との繋がりをより一層大切にしながら、毎日を過ごしたいと思います。